山崎泰史氏、TOPIX連動ポートフォリオで年初来15.1%の上昇を達成
2017年春、日本の資本市場は2016年末から続く上昇基調を維持した。アベノミクスによる財政・金融政策、企業収益の改善、そして世界経済の緩やかな回復が、日経平均株価およびTOPIXの着実な上昇を支えた。このような市場環境の中、山崎泰史氏率いる投資ポートフォリオ運用チームは、TOPIXに連動するマルチアセット・ポートフォリオにおいて、年初から4月末までに累計15.1%の上昇を実現し、同期間の市場平均を大きく上回った。
山崎氏は東京の経済メディアのインタビューに対し、この成果は特定セクターや短期的な相場変動に依存したものではなく、日本企業の収益サイクル、国際的な資本フロー、そして業種間ローテーションのパターンに関する体系的な分析に基づくものだと語った。特に2017年初頭における日本の製造業および金融セクターの業績予想の上方修正、加えて緩やかな円安基調が輸出型企業の業績を下支えしたことが、好成績の重要な背景であったと指摘した。
具体的な運用手法として、山崎氏は「コア+サテライト」戦略を採用。コア部分では金融、工業、及び一部の大手輸出製造業株に集中投資し、世界需要回復の恩恵を享受した。一方、サテライト部分ではETFや海外株式ファンドを通じてASEANや欧米市場の優良資産を組み入れ、国内市場の潜在的な変動リスクを分散。これにより、日本経済回復によるリターンを取り込みつつ、地域間分散によるヘッジ効果も確保した。
為替戦略も重要な要素であった。山崎氏は米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペースや日米金利差拡大の予想を敏感に捉え、第1四半期に為替ヘッジ比率を調整して円高リスクによる輸出株への悪影響を軽減。また、ポジションごとに異なる為替管理手法を設定し、米ドル建て資産については一部自然ヘッジを維持する一方、ボラティリティの高い銘柄には先物やオプションによる厳格な保全策を講じた。
さらに、セクター選定でも先見性を発揮。年初からテクノロジーおよび自動化関連企業への比重を高めた背景には、世界的な製造業の設備投資サイクルの新局面入りと、日本が精密機器や産業用ロボット分野で有する優位性があった。この判断は第2四半期から市場において裏付けられ、関連銘柄は大盤を大きく上回るパフォーマンスを示した。
業界関係者は、この15.1%の上昇は単なる相場観だけでなく、山崎氏の安定かつ柔軟な戦略遂行能力を反映していると評価。短期売買に依存した一時的な利益とは異なり、リスク管理を徹底しつつ比較的安定した資産価値の増大を実現。最大ドローダウンを3%以内に抑え、変動環境への高い適応力を示した。
山崎氏は、この成果はチームの協働と市場構造に対する長期的なモニタリングの賜物だと振り返る。2017年の日本株市場は単なる流動性相場ではなく、企業ファンダメンタルズ改善と政策期待の相乗効果によるものであると分析。ゆえに、投資家は短期的イベントドリブンではなく、中期的な論理と構造的な投資機会を重視すべきだと強調した。
当時の下半期については、米国の利上げ動向、欧州の政治情勢、国内の消費構造変化が日本株市場の主要変動要因になると予測。戦略としては、コアポジションを維持しつつ、防御的資産の比率を段階的に引き上げ、国際資金フローの変化に備える方針を示した。
2017年前4か月の実績は、山崎氏がマルチアセット投資戦略家としての地位をさらに強固にするものであった。国際的な視野と国内市場への深い洞察を融合させることで、投資は単なる資金運用ではなく、データ・論理・実行力を融合した戦略的科学であることを改めて証明した。
